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ドライアイスと液体窒素、氷ではない冷却技術の世界

本サイトの「クラッシュドアイスとキューブアイス」など、氷という素材の使い分けをたどってきました。しかし、モダンバーの世界には、氷とはまったく異なる原理を持つ、特殊な冷却技術も存在しています。

ドライアイスとは──氷点下78度の固体二酸化炭素

ドライアイスは、二酸化炭素を固体にしたもので、マイナス78.5度という、極めて低い温度を持っています。通常の氷とは違い、液体の状態を経ずに、直接気体へと変化する「昇華」という性質を持っているのが特徴です。この性質のおかげで、溶けても水たまりを残さないという実用的な利点もあり、ドライアイスという名前の由来にもなっています。カクテルに加えると、この昇華の過程で、幻想的な白い煙が立ちのぼる演出が生まれます。

あの白い煙の正体

ここで意外と知られていないのが、あの白い煙の正体です。実は、立ちのぼる白い煙は、二酸化炭素ガスそのものではありません。二酸化炭素ガス自体は、目には見えない無色透明な気体です。私たちが目にしている白い煙は、周囲の水蒸気が急激に冷やされて凝結した、微細な水滴の集まりなのです。

液体窒素と、分子ガストロノミーの世界

もう一つの特殊な冷却技術が、液体窒素です。マイナス195度という、ドライアイスよりもさらに低い温度を持つこの液体は、食材を瞬時に凍らせることができます。通常の冷凍方法では作れない、独特の食感や形を生み出す「分子ガストロノミー」と呼ばれる調理・カクテル手法において、重要な役割を果たしています。分子ガストロノミーでは、この他にも遠心分離機を使って果肉を層ごとに分離させたり、アルギン酸ナトリウムを使って液体をカプセル状に加工したりと、化学の実験のような技法が用いられることもあり、液体窒素はその中でも代表的な存在です。カクテルやデザートの見た目を演出する目的でも、幅広く活用されています。

扱いには、細心の注意が必要

ドライアイスや液体窒素は、その効果の裏に、無視できない危険性も伴っています。直接肌や口に触れると、凍傷を引き起こすおそれがあります。また、二酸化炭素ガスは空気よりも重く、低い場所に滞留しやすい性質を持っているため、狭い空間で大量に発生させると、酸欠や窒息のリスクが生じることもあります。ドライアイスが気体になると、その体積はもとの固体の状態からおよそ750倍にも膨張するとされ、わずかな量でも侮れない広がりを持つことがうかがえます。

こうした演出をカクテルに取り入れる際は、ドライアイスが完全に昇華するのを待ってから飲む、あるいはストローを使うといった配慮が欠かせません。専門的な知識と技術を持った担い手のもとで、慎重に扱われるべき技術だといえるでしょう。

まとめ

ドライアイスと液体窒素は、氷とはまったく異なる原理で、モダンバーに幻想的な演出をもたらす冷却技術です。その仕組みを正しく理解し、安全への配慮を欠かさないことが、こうした特殊な技術を楽しむための、大切な心得だといえるでしょう。目に見える白い煙の裏には、氷とは異なる化学の原理が静かに働いているのです。


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