用語

クラッシュドアイスとキューブアイス、カクテルでの使い分け

本サイトの「シェイクとステアで氷の溶け方が違う理由」で、氷の表面積が、冷却や希釈の速さを左右することを紹介しました。この原理は、氷の「形」そのものを使い分けるという、また別の場面にも生きています。

クラッシュドアイスとは──限界まで細かく砕かれた氷

クラッシュドアイスとは、氷を布巾に包んで叩いたり、専用のクラッシャーにかけたりして、限界まで細かく砕いた氷のことです。粒が細かくなることで表面積が非常に大きくなり、通常の氷に比べて格段に速く冷却できるのが、最大の特徴です。カクテルに使われるだけでなく、オイスターやカルパッチョといった冷製料理の器の下に敷いて鮮度を保つなど、飲食の幅広い場面で活用されています。

なぜモヒートやジュレップに使われるのか

クラッシュドアイスは、短時間で飲みきるショートドリンクに使われることが多く、時間をかけて楽しむロングドリンクにはあまり使われない傾向にあります。モヒートやミントジュレップといった、ミントの香りを生かすカクテルでは、このクラッシュドアイスが氷そのものと一体化するように、グラスいっぱいに満たされることが多いとされています。ミントジュレップは、アメリカの名物競馬レース「ケンタッキーダービー」の公式カクテルとしても知られており、世界中の競馬ファンに親しまれている一杯でもあります。

本サイトの「スウィズルとは」で紹介したスウィズルという技法も、実はこのクラッシュドアイスと深く関わっています。細かな氷を使うことで、材料と氷を一気にかき混ぜながら、急速な冷却と希釈を同時に実現しているのです。似た発想は、本サイトの「ブレンドスタイルとは」で紹介した、氷ごとミキサーにかけるフローズンスタイルのカクテルにも見ることができます。

キューブアイスが果たす、対照的な役割

一方、大きな角柱状のキューブアイスは、クラッシュドアイスとは対照的な役割を担います。表面積が小さいため、冷却や希釈のスピードもゆっくりと穏やかに進みます。本サイトの「ハンドカットアイスとは」で紹介した、丸く削られた氷も、この「表面積をできるだけ抑える」という発想の延長線上にあるといえるでしょう。時間をかけてじっくり味わいたい、オンザロックスのようなカクテルには、こうした大きな氷がよく向いているとされています。

家庭でクラッシュドアイスを楽しむには

家庭でクラッシュドアイスを作りたい場合は、清潔な布巾に氷を包み、鈍器のようなもので叩いて砕くという、昔ながらの方法があります。手動や電動のアイスクラッシャーを使えば、より手軽に、均一な大きさの氷を用意することもできます。こうしたひと手間を加えるだけで、自宅でもモヒートなどのカクテルを、より本格的な味わいで楽しむことができるようになります。

まとめ

クラッシュドアイスとキューブアイスは、同じ氷でありながら、表面積の違いによって、まったく異なる役割を担っています。急速な冷却と希釈を求めるならクラッシュドアイス、穏やかな時間を楽しみたいならキューブアイス。次にカクテルを選ぶときは、そのグラスに使われている氷の形にも、目を向けてみてください。同じ「氷」という素材が、形一つでこれほど違う役割を果たすというのは、興味深いことです。


飲酒は20歳になってから。本記事の内容は執筆時点の情報をもとに構成しています。

参考情報

NOTE —飲酒は20歳になってから。掲載情報は公開情報・公的データをもとに構成しています。
飲酒は20歳になってから。妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。当サイトについて